活動レポート

- 社会を反映する廃棄物の未来 -
帝京大学文学部社会学科 教授 渡辺浩平?
京都大学工学部衛生工学科卒業後、同大学大学院文学研究科にて地理学を学ぶ。その後、ケンブリッジ大学に留学。地球科学部地理学科大学院にて学び、M.Phil、Ph.D. の学位を取得。国や学部学科を移動しつつも、大学時代から現在に至るまで一貫してごみの研究を続け、現在の専門は都市廃棄物管理。EUのごみをテーマにしたフォーラムや、国連環境計画(UNEP)のワーキンググループのメンバーでもある。
近現代における科学技術と産業技術の発展は、そのまま「廃棄物=ごみ」の複雑化につながりました。電池やプラスチックをはじめ、自然界には存在しない人工素材の急増と生活変容が主因です。私が大学で学び始めた30年以上前、ごみ問題は焼却処理やリサイクル手法の発展により解決できると考えられていました。しかし実態はより複雑で、現代のごみは対処するために高度な技術が必要であることはもちろん、国の法整備、自治体の役割分担、企業の取り組み、一般生活者の行動や意識にいたるまで、幅広い領域へと課題の裾野が及んでいます。
大学時代から一貫してごみ問題に取り組んできた私が、特に研究のテーマとしているのがごみの発生段階についてです。まず、ごみの量や中身を分析します。これまでに日本、イギリス、ドイツ、デンマークなどの各都市と連携し、詳細な組成調査を行いごみの質を把握してきました。また、分析手法の開発にも注力してきました。たとえば、紙に再生原料がど